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地震予知とは、地震の発生時期、場所、そして規模(マグニチュード)の三つの要素を地震の発生前に科学的な根拠に基づき精度よく予測することです。
例えば「1年以内に(発生時期)、日本の内陸部で(場所)、マグニチュード5(規模)の地震が発生する」というような幅のある予測はたいてい当たりますが、防災に直接役立つ情報としての価値はあまりありません。防災対策に結びつけられる地震予知のためには、三つの要素の予測幅がある程度限定されている必要があります。
地震が発生する直前(長くても数日程度)に行われる予知は、地震の直前予知(あるいは短期予知)と呼ばれます。
現在の科学では、地震の直前予知は実用段階ではなく未だ研究段階にあると考えられています。この理由の一つに、大地震の発生頻度が少なく、地震の発生前に震源域とその近傍でどのような現象が起こっているかが十分に解明されていないことが挙げられます。
しかし、その中において、後述するような理由から、東海地震は、現在日本で唯一、直前予知の可能性がある地震と考えられています(ただし、東海地震でも日時を特定した予知は不可能です)。
「○月×日に大地震が起こる」という発生日時を特定したような話を耳にすることがありますが、それらは科学的な根拠がない、あるいは科学的な検証が十分になされてはいないもので、注意が必要です。
地震の短期予知に対して、地震観測記録、古文書、さらには地質学的な調査などから過去の地震の発生履歴を調査し、統計的な手法を用いて、地震の規模や将来の地震発生の可能性について、たとえば今後30年以内の発生確率といった形で求めることは「長期予測」、あるいは「長期評価」と呼ばれています。
これまでの研究により、東海地震については、その発生場所と規模が特定され、時期的にいつ起きてもおかしくない状況にあることが分かっています。
さらに、東海地震に関して、次のような事実があります。
以上のようなことから、東海地震は、現在、日本で唯一直前予知のできる可能性がある地震と考えられています。
逆にいうと、その他一般の地震は、上記の3つの条件を満たさないので、予知は困難であると考えられています。
なお、東海地震の直前予知であっても、現在の技術では、数日中に発生するおそれがある、ということが推測できる程度です。「○月○日○時」といった日時を特定した予知はできません。
「前兆すべり(プレスリップ)」とは、震源域(プレート境界の強く固着している領域)の一部が地震の発生前に剥がれ、ゆっくりとすべり動き始めるとされる現象です。最新の地震学の研究成果によると、地震の前兆現象が現れる機構を説明するモデルとして、「前兆すべり(プレスリップ)モデル」が最も合理的と考えられています。
東海地震の発生に至る過程は、次のように考えられています。

図をクリックすると大きな画像が表示されます[png形式:198KB]
前兆すべりが発生すると、周囲の岩盤のひずみが変化しますので、それをひずみ計などによる観測によってできるだけ早期に捉えようとするのが、気象庁の直前予知戦略です。
気象庁では、国土地理院、海上保安庁、独立行政法人防災科学技術研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、国立大学法人東京大学、国立大学法人名古屋大学、及び静岡県などの関係機関の協力を得て、東海地域とその周辺に地震計やひずみ計などの観測網を高密度に展開し、得られるデータを24時間体制で監視しています。
異常な変化が観測されれば、「前兆すべり(プレスリップ)モデル」を判断基準として、観測された変化がプレート境界でのすべりで説明できること、異なる観測点の変化の傾向が似ていること、変化の傾向が加速していることを要点として東海地震との関連性を判断します。
東海地震は必ず予知できるのでしょうか? 残念ながら、その答えは「いいえ」です。
前兆すべりが急激に進んでその始まりから地震発生までの時間が短い場合や、前兆すべりの規模が小さかったり、陸域から離れた場所で起こったりして、それによる岩盤のひずみが現在の技術では捉えられないほど小さかった場合などには、東海地震に関連する情報を発表できずに地震の発生に至ることがあります。
では、どのくらいの確率で前兆現象を捉えることができるのでしょうか? これも残念ながら「不明」です。
このように、東海地震を予知できない場合もあります。従って、他の地震と同様、自宅等の耐震性の確認、家具の耐震固定、食料・飲料水の備蓄の確認、避難場所や高台までの経路や移動手段の確認、家族との連絡方法の確認等、日頃からの十分な備えが大切です。