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2003年 No.46 火山の概況 (平成15年11月6日〜11月12日)

 11月4日より浅間山、伊豆大島、阿蘇山、雲仙岳、桜島の5火山について、火山活動度レベル(以下、レベルと言う。)の提供を開始した。週間火山概況の中では、期間中のレベルの状態を記述している。最新のレベルについては、こちらを参照されたい。

 期間中、5火山のレベルに変化はなかった。浅間山では地震がやや多い状態が続いた。阿蘇山では中岳第一火口の浅部の熱的な活動が活発であった。桜島では噴煙活動が継続した。
 その他の火山については、樽前山では山頂部の熱的な活動が活発であった。三宅島では噴煙活動が継続し、多量の火山ガスの放出が続いた。伊豆鳥島では噴気と変色水が、噴火浅根、福徳岡ノ場では変色水が確認された。薩摩硫黄島では微動が発生した。諏訪之瀬島では噴火があった。


図1 記事を掲載した火山 及び 表1 最近1か月に記事を掲載した火山

注1 記号の意味
▲:噴火した火山 ●:観測データ等に変化があった火山
◆:前期間までに掲載した火山の、その後の状況等 ◇:その他記事を掲載した火山
@A等の丸付き数字:火山活動度レベル

注2 本文の火山名の後ろの[噴煙・噴気・地震・微動・空振・地殻変動・熱・火山ガス等]は、
変化があった観測データ項目を、数字は火山活動度レベルを示す。

樽前山 [熱]
 11日に札幌管区気象台が行った調査観測ではA火口の温度は約640℃(前回観測時(10月7〜8日)には約650℃)で、また同日に産業技術総合研究所が行った観測ではドーム南西噴気孔群(B噴気孔群)の温度は約480℃(前回の札幌管区気象台の観測時(10月7〜8日)には約500℃)と、依然極めて温度の高い状態が継続しており、山頂部の熱的な活動が引き続き活発であった。
 なお、B噴気孔群が夜間に高感度カメラで明るく見える現象は、先月19日以降観測されておらず、B噴気孔群及びその他の火口からの噴煙活動や地震活動、地殻変動にも大きな変化はなかった。

浅間山 [地震・微動・熱]  レベル:A(やや活発な火山活動)
 6月末頃からやや多く観測されるようになった振幅の小さい地震は、今期間もやや多い状態が継続しており、1日あたり27〜66回観測された。また、振幅の小さい微動は9日、12日に各1回の計2回観測された(前期間は4回)。
 群馬県林務部が火口縁に設置している赤外カメラでは、火口底で引き続き高温部が観測された。

伊豆大島  レベル:@(静穏な火山活動)
 地震活動は静穏で、噴煙は確認されなかった。また、地殻変動等のその他の観測データにも異常な変化はなかった。

三宅島 [火山ガス・熱・噴煙]
 12日に気象庁が行った火山ガス観測1)では、二酸化硫黄の放出量は日量6,300〜6,400トンと、長期的には低下傾向がみられるものの依然多い状態であった(図2)。また、同時に気象庁が行った上空からの観測1)では、火山ガスを含む青白い噴煙が南西山麓へ流下していた。火口内は前日の大雨のため水溜りが拡大しており、白色の噴煙は火口全体から噴出していた。赤外カメラによる観測では、火口内の最高温度は220℃であった(前回(4日)200℃)。
 監視カメラによる噴煙の観測では、白色噴煙が連続的に噴出しており、噴煙高度の最高は火口縁上700mであった。
 振幅の小さいやや低周波の地震の回数は、1日あたり18〜37回と落ち着いた状態で推移した。
 GPSによる地殻変動観測では、今年6月頃から再び島の収縮傾向を示している。
 1) 警視庁の協力による

図2 三宅島 二酸化硫黄放出量の推移(2000年8月26日 〜 2003年11月12日)

伊豆鳥島 [噴気・変色水]
山頂火口の噴気活動及び島周辺の海面に変色水が確認された。
 6日に海上保安庁第三管区海上保安本部が行った上空からの調査により、硫黄山山頂火口の南側の内壁から噴気が出ているのが確認された。一方、昨年8月に噴火した2か所の火孔は土砂で埋まっており、噴気は認められなかった。また、島の北側海岸線にごく薄い青緑色の変色水が確認された。

噴火浅根 [変色水]  (前期間)
海面付近に変色水が確認された。
 前期間の4日に海上保安庁第三管区海上保安本部が行った上空からの調査によると、噴火浅根付近の海面に、間欠的に直径50〜100mの青白色の変色水が湧出しているのが確認された。

福徳岡ノ場 [変色水]  (前期間)
海面に変色水が確認された。
 前期間の5日に海上保安庁第三管区海上保安本部が行った上空からの調査によると、福徳岡ノ場付近の海面に、幅約100〜500m、長さ約1,500mの乳白色から黄緑色の変色水が湧出しているのが確認された。

阿蘇山 [熱・微動]  レベル:A(やや活発な火山活動)
中岳第一火口の浅部の熱的な活動が活発で、孤立型微動が多い状態で推移した。
 中岳第一火口内の状況は、7日に実施した現地観測によると、湯だまりの色は灰緑色で、茶色の浮遊物があり、中央部付近で噴湯現象が確認された。見かけ上の湯だまりの面積は約5割となっており、減少傾向が続いている。湯だまり表面の温度の最高は73℃と依然高い状態が続いている(前期間の観測時(4日)は80℃)。また、南側火口壁の温度の最高も334℃と依然高い状態であった(前期間の観測時は332℃)。
 噴煙の状況は、少量の白色噴煙が連続的に噴出しており、噴煙高度の最高は火口縁上400mであった(前期間は少量・白色で最高高度は600m)。
 孤立型微動は、今期間の発生回数が1,713回(前期間は1,241回)と多い状態が続いている。A型地震の回数が25回(前期間7回)とやや多くなったが、そのほとんどが阿蘇カルデラの外で発生した構造性の地震で、火山活動には直接関係しないものと考えられる。B型地震については、今期間の発生回数は14回で、前期間(32回)よりさらに減少し、9月以降続いていた多い状態は収まっている。地殻変動等、その他の観測データには特に変化はなかった。


雲仙岳  レベル:@(静穏な火山活動)
 地震活動、噴煙活動とも静穏であった。その他の観測データにも異常な変化はなかった。

桜島 [噴煙] レベル:A(比較的静穏な噴火活動)
 期間中、噴火はなかった(前期間も噴火なし)。南岳山頂火口の噴煙活動は継続しており、少量の灰白色の噴煙が、最高で火口縁上600mまで上がるのが観測された。
 鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)で降灰は観測されなかった(前期間も降灰なし)。

薩摩硫黄島 [微動・火山ガス]
 期間中、噴火はなかった(前期間も噴火なし)。
 連続微動が6日及び11日以降に発生している(13日24時現在継続中)。
 11日06時35分、種子島測候所(硫黄岳の東約65km)で硫黄臭を感じた。当時は西風が吹いており、硫黄岳山頂火口から噴出している二酸化硫黄が東に流され種子島まで届いたものと考えられる。

諏訪之瀬島 [噴煙・降灰・微動]
 期間中、爆発はなかった(前期間は爆発1回)。
 十島村役場諏訪之瀬島出張所により、悪天のため状況が不明であった11日を除く毎日、山頂から火山灰を上げているのが確認された。また、6日夜には集落(御岳の南南西約4km)に降灰があった。
 連続微動がほぼ全期間にわたり発生した。


表2 火山情報発表状況
火山名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
三宅島 火山観測情報第617号
↓(1日2回発表)
火山観測情報第630号
6日09:30

12日16:30
活動経過ほか(噴煙・地震・微動・空振・火山ガス・地殻変動の状況、上空からの観測結果、 及び上空の風・火山ガスの移動予想)。
阿蘇山 火山観測情報第26号 7日11:50 火山活動がやや活発(孤立型微動が引き続き多い状態、中岳第一火口の熱的な状態が高い)。


「火山の概況」で用いる語の解説



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気象庁地震火山部火山課
Volcanological Division, Japan Meteorological Agency (JMA)